sign

Illustrations for
appreciating
European Culture

sign

タルトといえばアマンディーヌ

タルトといえばアマンディーヌ 2023.06.01

アマンディーヌという名前のタルトがある。表面にはアーモンドのスライスがトッピングされ、ナパージュ(アプリコットのジャムを薄めたもので、艶出しに使えわれる)やパウダーシュガーで整えられている、とてもオーソドックスな「タルト」だ。

アマンディーヌが一番、タルトの美味しさが分かる気がする

チーズタルトやチョコレートタルトみたいに、タルトの外側の殻というか土台の中にフレーバーのついた生地が収まっていることもあるが、よくある一般的なタルトといえば、アーモンドプードルとバターを使った風味豊かな生地が詰められている。上にはナッツやフルーツのトッピングがなされていることが多い。トッピングなしでは見た目が地味過ぎるのか、華やかにするためでもあるのだろう。

お味に関しては、まあ、だいたい何がトッピングされていても美味しい。

タルトって本当に美味しい。

しかし、トッピングや詰め物に各種ナッツやベリー、季節の果物なんて使われていると、そちらが主役になってしまい、タルト本体の味に向ける意識が減る気がするのだ。

子どもの頃、父がよく焼いてくれたアマンディーヌというこのケーキは、トッピングされているものがアーモンドスライスだけなので、アーモンドとバターの風味が存分に楽しめる、お茶菓子にもってこいのケーキだ。我が家ではオレンジリキュール(グランマルニエやコアントロー)で洋酒の風味もちょっとつけたレシピを使っている。

見た目も材料も素朴なお菓子だが、完成度の高い、風味豊かなお菓子である。

ヨーロッパのお菓子にはよくアーモンドプードルが使われている

元来のタルトというと、外側の殻はクッキーみたいな生地(pâté sucrée、パート・シュクレという)で囲んであり、内側の詰め物には、焼くとほろっと崩れる食感の生地が入っている。

この、タルトの詰め物になっている生地は、クレーム・ダマンド(crème d’amande、フランス語で「アーモンドのクリーム」の意)と呼ばれ、アーモンドプードルとバター、卵などを混ぜたものだ。日本でアーモンドというと、おつまみやトッピングに使うナッツのイメージかもしれないが、実は身近な洋菓子(特にフランス菓子)にはよくアーモンドプードル=アーモンドを砕いて粉にしたものが使われている。タルトだけではなく、フィナンシェ、マカロン、マジパンなども通常、アーモンドプードルが材料に入っている。

アーモンドプードルを使用すると風味豊かになり、だいたい何でもおいしくなる。小麦粉の配合の一部をアーモンドプードルに変更してみてはいかがでしょうか。例えばクッキーもそれで、もっと美味しくなる。

アーモンドプードルは冷凍保存したらよい

スーパーでも30~40gくらいの小袋のアーモンドプードルが販売されているが、少量の個包装のものは驚くほど高額だ。タルト1台焼こうと思うと、100g程度のアーモンドプードルが必要だが、小袋を2~3買わないといけない。コスパが悪くてタルトを焼きたい気持ちをちょっぴり削がれてしまう。

そこでおすすめなのが、大きい袋の冷凍保存。製菓材料店で販売されている500g程度の大袋を買うといい。冷凍で保存しておくと、使いたいときに使えてよい。

ちなみに私はバターも冷凍保存している。

トップへ戻る